ガソリン・軽油・灯油などの各種石油製品は、原油から作られています。産油国から運ばれてきた原油は、製油所の加熱炉で約350℃に加熱され、蒸気(石油蒸気)になって蒸留塔に送られます。蒸留塔は上に行くほど温度が低くなるように制御されており、入ってきた石油蒸気を沸点の低いものから順に分けています。沸点30℃〜180℃でガソリンなどが、170℃〜250℃で灯油、240℃〜350℃で軽油が留出され、蒸留塔に残ったものが重油やアスファルトになります。
 軽油は淡黄色ですが、ガソリンと灯油は無色透明です。ガソリンと灯油との見分けがつくように、ガソリンはオレンジ色に着色されています。
 
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 天然ガスから軽油・灯油などを作る技術をGTL(ガス・トゥ・リキッド)といいます。GTLは天然ガスに酸素などを加えて化学変化させ、さらにFT(フイッシャー・トロプシュ)合成といわれる化学変化をさせて炭化水素にします。これを分解、液化して灯油などを作ります。
 現在このGTLについては、各社実用化に向けて開発の段階です。
 
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 ガソリンや軽油・灯油などの原料である原油は、限りある資源です。「原油がこの地球上にあとどれだけあるか」ということは正確にはわかりませんが、欧米の石油専門誌が発表したところによれば、現在確認されている埋蔵量(確認埋蔵量)は2001年末の推計で、世界合計1兆320億バレルです。
 「石油があとどれくらいあるか」という目安の一つとして、”可採年数”が使われます。これはある年の年末の確認埋蔵量を年間生産量で割った数値で、2001年では44年になっています。確認埋蔵量とは、現在の技術水準・経済性からみて確実に生産できる量のことです。ただし、この”44年”という数値は、新油田の発見や掘削・回収技術の進歩、原油需要量の変化などに伴い、変ってゆくものなので限りある資源であることは間違いありませんが、「44年後に石油がなくなってしまう」ということではありません。
 
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 ガソリンは主に自動車に用いられ、その割合は99.5%を占めています。自動車用ガソリンはレギュラーとプレミアム(通称ハイオク)の2種類が販売されています。これはJIS規格に基づいたオクタン価(レギュラーは89以上、プレミアムは96以上)によって2種類に分けられています。
 軽油は主にバスやトラックなどの燃料として使われています。乗用車にも軽油を使用するディーゼルエンジン車があります。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べ熱効率が高く、1リットル当たりの走行距離が長いなど経済的という特長があります。
 灯油は、灯油ストーブの出現により、暖房用燃料の主流となっています。雪国に多いセントラルヒーティングもほとんどが灯油です。日本のストーブやファンヒーターは部屋の中で直接燃焼させるタイプがほとんどです。そのため日本の灯油は、硫黄分や刺激臭が少なくススや煙が出ない、あるいは燃焼効率が高いなど国際的にみて高い品質を誇っています。
 
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 2000年に世界で消費した石油は約7,391万バレル/日です。日本が2000年に消費した石油は世界の7.5%、約553万バレル/日で、日本はアメリカの約1,875万バレル/日(25.4%)に次ぐ世界第2位の消費大国です。
 
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 日本は石油製品の原料である原油の99.7%を海外から輸入しています。その9割弱を中東産油国に依存しています。
 中東の産油国で採掘された原油は、約17〜18日かけてタンカーで日本の製油所まで運ばれます。原油は製油所で精製され、ガソリンや軽油・灯油などの石油製品になります。製油所で造られた各石油製品は、油槽所と呼ばれる出荷基地に内航タンカー(日本近海を走る小型のタンカー)で運ばれます。油槽所からはタンクローリーなどで各ガソリンスタンドまで運ばれます。こうして、ガソリンなどは皆さんのもとに届いています。
 
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